子どもが15歳になったら養育費は増額できる? 増額請求の方法とは
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子どもが15歳になり、高校進学を目前に、「今の養育費では足りない、増額したい」と思う方もいるのではないでしょうか。
厚生労働省が公表した「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」によると、2021年度の養育費の平均月額(養育費の額が決まっている世帯)は、母子世帯で5万485円、父子世帯では2万6992円でした。
養育費が不足した場合、増額できる場合があります。しかし、増額するためには正当な理由が必要です。今回は、どのような場合に増額請求できるのか、請求方法もあわせて、ベリーベスト法律事務所 八王子オフィスの弁護士が解説します。
1、子どもが15歳になったら養育費は増額できる?
子どもが大きくなり、離婚時に決めた養育費では足りなくなってしまった場合、養育費を増額できる可能性があります。
ただし、増額するには条件(正当な理由)を相手に提示する必要があります。以下、解説します。
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(1)増額するためには正当な理由が必要
養育費の増額をするためには、取り決め時から事情が変化したという事実と、不足を補うための正当な理由が必要です。具体的には、以下のような6つの例が挙げられます。
① 義務者の収入が増えた
養育費を支払う側(「義務者」といいます)の収入が、離婚時よりも増加することがあります。養育費は子どもの健やかな成長を支える費用であり、養育する義務がある者の収入が著しく増えた場合は、養育費の増額が認められる可能性が高いです。
② 権利者の収入が減った
養育費を受け取る権利がある側(「権利者」といいます)が、会社をクビになってしまったり、怪我や病気によって働けなくなったりして、収入が減少してしまうことがあります。そのような場合にも、子どもの監護のための費用が足らない状況になったとして、養育費の増額が認められることがあります。
③ 子どもの教育費が増えた
養育費の増額は子どもの事情によっても増額できる可能性があります。子どもが私立学校に進学することになった場合や、通学している学校の学費が上がったなど、当初の予定とは異なるケースもあるからです。
ただし、子どもの私立入学が、両親の学歴を鑑みて相当であることや、通学エリア内に妥当な学校がほかにないなどの理由が必要です。支払義務者に、従前より私立学校入学を容認していたなど、進学を認めるべき理由がある場合は、増額の可能性が高まるでしょう。
④ 子どもが塾や習い事に通うようになった
子どもの成長とともに、習い事や塾で想定以上のお金がかかることがあります。そのような場合にも事情の変化があったとして、養育費の増額が認められることがあります。ただし、このケースも塾通いや習い事に、相当な理由があることが必要になります。
⑤ 子どもが大きな病気や怪我をして、高額な医療費が必要になった
子どもが大きな病気になったり、怪我をしてしまったりした場合は、養育費の増額が認められる可能性が高いでしょう。もっとも、完治するまで長い時間がかからない場合は、増額はせず、一時的に医療費を援助してもらうことで対応することもあります。
⑥ 急激な物価高(インフレ)などによって生活が困窮している
急激な物価高などによって生活が困窮している場合にも増額が認められることがあります。これは、相手や自分、子どもの事情の変化ではなく、社会の変化によるものです。そのため、現在の養育費では子どもの監護が難しく、明らかに困窮している状態でなければなりません。 -
(2)養育費は養育費算定表によって相場が決まる
一般的に養育費は、裁判所が掲載している「養育費・婚姻費用算定表」によっておおよその金額が決まります。この算定表は、家庭裁判所での調停や審判の際の基準になる金額です。
養育費が適正な相場であるかを調べるためには、まず、裁判所のホームページを確認して、相手と自分の収入、子どもの年齢や人数などから、養育費の相場がいくらになるのか確認してみましょう。
ただし、相場以下しかもらえていなかったとしても、一度決定した養育費を、直ちに増額してもらえるわけではありません。あくまで、正当な理由があり、増額の必要がある場合に限られます。また、相場以上の金額が必要な場合には、その根拠となるような理由が必要です。
2、養育費の増額が認められない6つのケース
1章で紹介したような事情の変化があったとしても、養育費の増額が認められないケースがあります。以下、増額が認められにくい6つのケースについて解説します。
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(1)権利者(受け取る側)の収入が大幅に増えた
養育費の取り決めをした当初と事情が変化したとしても、受け取る側の収入が大幅に増えた場合には、増額が認められないことがあります。なぜなら、養育費の増額をしなくとも、大幅に増えた収入で子どもの監護が可能だからです。相手と自分、そして子どもの事情すべてを考慮して、増額が認められるか考える必要があります。
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(2)支払義務者(支払う側)の収入が減った
支払う側の収入が減った場合には、養育費の増額をすることは難しいでしょう。さらには、大幅に収入が減った場合には、むしろ養育費が減額されてしまう可能性もあります。
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(3)再婚相手と子どもが養子縁組をした
再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組した場合にも増額が認められることは難しいでしょう。養子縁組したことによって再婚相手には子ども(養子)の養育義務が発生します。そのため、元の配偶者から養育費をもらわずとも養育が可能であるとして、増額が難しくなります。
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(4)相手が再婚して扶養家族ができた
相手が再婚して、家族ができた場合も増額が難しくなります。家族が増えたということは、相手もその家族を扶養していかなければなりません。そのため、事情の変化があったとしても、相手の生活に影響が出るような増額をすることは難しいでしょう。
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(5)一括払いで養育費を受け取っている
養育費を将来の分も合わせて、一括で受け取っている場合も増額が難しいといえます。すでに将来の養育費も加味して、その金額に合意した上で、一括払いを受けているということになるからです。
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(6)身勝手な理由での増額
これらの事情のほかに、身勝手な理由で増額を請求することはできません。たとえば、養育費を増やして楽な生活をしたい、自分の仕事を減らしたいなどです。このような理由での増額は、基本的に認められません。
3、養育費を増額するための請求方法
実際に養育費を増額するための請求方法について確認しておきましょう。
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(1)話し合いをする
まずは、増額してもらうことができないか、相手側と直接話し合いをすることになります。もし、養育費の増額に応じてもらえた場合には、増額の内容を公正証書に残すことをおすすめします。公正証書とは、公証人という公務員が書面を作成し、公的に内容を証明する書類です。この公正証書があれば、相手方が養育費を払わなかったときなどのトラブルの際に、差し押さえなどの強制執行することができます。
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(2)話し合いができない場合
話し合いができない場合には、内容証明郵便で増額してもらうよう通知しましょう。内容証明郵便とは、郵便局が、差出人と受取人の情報や配送記録、文書の内容を保管し、公的に証明してくれる郵便方法です。そのため、○○月××日に増額についての書面を送ったということを証明できます。
内容証明郵便は、個人で作成することもできますが、弁護士に依頼することで、相手側との交渉が進めやすくなる可能性が高まります。 -
(3)解決できない場合は調停の申し立てをする
話し合いで決着がつかなかった場合には、養育費増額調停の申し立てをすることになります。この養育費増額調停は、家庭裁判所に申し立てる必要があります。
申し立てには下記の書類が必要になります。- ① 申立書およびその写し 各1通
- ② 子どもの全部事項証明書または戸籍謄本
- ③ 申立人の収入に関する書類:給与明細・源泉徴収票・確定申告書
- ④ その他書類:子どもの学費や子どもの支出に関するもの
これらの書類を提出すると調停期日が決定し、調停委員2名が互いの話を聞き、増額の妥当性や金額の適正について話し合いを進めます。この話し合いでお互いに納得し、合意することができれば、調停調書を作成して、調停手続きが終了します。
もっとも、調停が不成立となるケースもあります。その場合には、養育費増額審判という手続きに移行します。この場合には、調停の内容を参考に、客観的に増額すべきか、いくらにするのが妥当であるか、裁判所が判断します。裁判所の審判内容に不服がある場合は、高等裁判所に不服申し立て(「即時抗告」といいます)をすることになります。
4、養育費の増額請求を弁護士に相談するメリット
養育費の増額をしたくても、適正な金額でなければ相手が合意することは難しいでしょう。弁護士に相談すれば、養育費算定表は相談者の方の事情に基づいて、どのくらいの増額が妥当であるか、アドバイスをもらうことができます。
また、話し合いの同席や代理交渉から、調停、審判など、すべての手続きを一任することができるため、煩雑な手続きや相手とのやりとりがなくなり、心身共に負担を軽減できるでしょう。さらに、取り決めた養育費が支払われなかった場合でも、弁護士に相談することで対応してもらうことができます。
5、まとめ
子どもの成長にあわせて、養育費が増加するケースは少なくありません。今の養育費では足りず、どうにかできないかと頭を悩ませている方もいらっしゃるでしょう。
そんなときには、離婚問題や養育費請求の実績がある弁護士にご相談ください。養育費や現在の詳しい事情をお伺いし、最適な解決方法についてご提案させていただきます。ベリーベスト法律事務所 八王子オフィスまで、まずはお気軽にご相談ください。
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