働かない妻と離婚する方法とは? 流れや注意点などを弁護士が解説
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経済的に余裕がないにもかかわらず妻が働いてくれないとお悩みの方もいるかもしれません。夫が働き、妻が専業主婦というケースは日本では減少傾向にあり、共働き家庭が年々増加しています。そのため、周囲と比べて妻が働かないことに不満を抱き、離婚を考えてしまう方もいるでしょう。
しかし、そもそも「働かない妻」であることを理由に離婚はできるのでしょうか。また、働かない妻と離婚する場合、財産分与や親権・養育費にはどのようにすればよいのでしょうか。
今回は、働かない妻と離婚する方法と離婚する際の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 八王子オフィスの弁護士が解説します。
1、「働かない妻」であることを理由に離婚できる?
妻が働かないことを理由に離婚することができるのでしょうか。以下では、「働かない妻」と離婚する方法や離婚できるケースについて説明します。
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(1)「働かない妻」と離婚する3つの方法
離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚という3つの方法があります。
協議離婚と調停離婚は、夫婦の話し合いによって離婚を目指す手続きですので、お互いが離婚に合意している限り離婚の理由は問われません。そのため、妻が働かないという理由でも離婚は可能です。
これに対して、裁判離婚では、夫婦の話し合いではなく裁判所が離婚をするかどうか判断します。裁判所が離婚を認めるためには、以下の法定離婚事由が必要になります。5つの法定離婚事由
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
妻が働かないというだけでは、法定離婚事由に該当しませんので、裁判離婚をするのは難しいでしょう。
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(2)妻が働かないことを理由に離婚できるケース
働かない妻という理由だけでは、法定離婚事由には該当しませんが、以下のような事情がある場合には、働かない妻と離婚できる可能性があります。
① 健康であるにもかかわらず仕事だけでなく家事や育児もしない
夫婦は、互いに協力し、扶助する義務がありますので、お互いに助け合って生活をしていかなければなりません。夫が会社員、妻が専業主婦という家庭では、夫が仕事で生活費などを稼ぎ、妻は家事や育児などにより家庭を支えることで協力扶助義務を果たしています。
しかし、健康であるにもかかわらず、仕事だけでなく家事や育児も放棄しているという場合には、夫婦の基本的義務である協力扶助義務に違反します。そのため、法定離婚事由である「悪意の遺棄」または「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり、離婚が認められる可能性があります。
② 働かない妻に浪費癖がある
生活に余裕がある範囲であれば多少の浪費をしたとしても、そのことが離婚理由になることはありません。
しかし、妻が働かないことで生活に余裕がない状況であるにもかかわらず、ブランド品の購入、ギャンブルなど浪費をしていた場合には、協力扶助義務に違反する可能性があります。具体的な状況にもよりますが、働かない妻に浪費癖がある場合には、法定離婚事由である「悪意の遺棄」または「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり、離婚が認められる可能性があります。
2、妻に離婚を切り出す前に考えておくべきこと
働かない妻に離婚を切り出す前に、以下のことを考えておくようにしましょう。
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(1)財産分与
財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を離婚時に清算する制度です。
働かない妻との離婚をお考えの方の中には、妻に財産を分けたくないと考える方もいるかもしれません。しかし、働かない妻であっても専業主婦として家事や育児を担っていた場合には、家事労働によって夫婦の財産形成に協力していますので、財産分与はしなければなりません。そして、働かない妻であっても、基本的には2分の1の財産を受け取る権利があります。
なお、住宅ローンや教育ローンなどの借金も夫婦生活に関係するものについては、財産分与において考慮されます。ただし、働かない妻がギャンブルなど生活に関係のない借金をしていた場合には、夫婦生活とは無関係ですので財産分与の対象外になります。
働かない妻との離婚をお考えの方は、まずは、お互いの財産をピックアップするなどして財産分与の準備を進めていきましょう。 -
(2)子どもがいるなら親権や養育費
夫婦に子どもがいる場合には、離婚時に父または母のどちらか一方を親権者に指定しなければなりません。お互いに親権を主張することになれば、離婚が成立するまでに長い期間がかかることもありますので、親権に関する自分の考えをまとめておくことが大切です。
また、親権を獲得できない場合には、子どもに対して養育費を支払うことになりますので、養育費の金額も決める必要があります。養育費の金額は、お互いの収入に応じて相場が決まっていますので、裁判所の養育費算定表を参照して、相場となる金額を調べておくとよいでしょう。 -
(3)法定離婚事由の有無
働かない妻が離婚に応じてくれない場合には、最終的に裁判によって決着をつける必要があります。その際に重要となるのが法定離婚事由の有無です。
裁判離婚まで視野に入れているのであれば、裁判離婚を有利に進めるためにも法定離婚事由を基礎づける証拠集めをしておくとよいでしょう。
3、働かない妻と離婚をするときの流れ
働かない妻と離婚をするためには、以下のような流れで進めていきます。
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(1)財産分与・親権・養育費などについて考えておく
離婚条件などを整理する前に、いきなり離婚を切り出しても、スムーズな話し合いを進めることができません。また、離婚に必要な証拠が不十分な状況で離婚を切り出してしまうと、それ以降の証拠収集が困難になるおそれもあります。
そのため、働かない妻に離婚を切り出す前に、2章で説明した「財産分与」「親権・養育費」「法定離婚事由の有無」について事前に考えておくことが大切です。 -
(2)働かない妻に離婚を切り出す
条件の整理などが終わったら、働かない妻に離婚を切り出します。離婚に関する話し合いは決めなければならない事項がたくさんありますので、じっくりと話し合いを進めていくことが大切です。いきなり離婚の話を切り出された妻もすぐに応じてくれるとは限りませんので、時間をかけて話し合いをしていくようにしましょう。
お互いの話し合いによって離婚の合意に至った場合には、離婚届に必要事項を記入し、市区町村役場に提出すれば離婚は成立となります。離婚条件を定めた場合には、後日の争いを防止するためにも離婚協議書を作成しておくことをおすすめします。 -
(3)妻の態度によっては別居を検討する
妻がすぐに離婚に応じてくれないという場合には、妻との別居も検討するようにしましょう。
別居をすることでお互いに冷静になって話し合いを進めることができるというメリットだけでなく、別居期間が長くなれば夫婦関係が破綻していることを基礎づけるひとつの事情となりますので、裁判になった場合に有利な事情として考慮してもらうことができます。
なお、別居後は離婚成立までの間、妻に対して、婚姻費用という生活費を支払わなければなりませんので注意が必要です。 -
(4)離婚調停の申立て
妻との話し合いでは離婚の合意に至らないという場合には、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。調停は、基本的には話し合いの手続きになりますが、調停委員が夫婦の間に入ってくれますので、冷静に話し合いを進めることが可能です。
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(5)離婚訴訟の提起
調停でも離婚の合意に至らなかった場合には、調停は不成立となります。調停不成立後も離婚を求めていくためには、最終的に家庭裁判所に離婚訴訟を提起する必要があります。ただし、離婚訴訟では、法定離婚事由がなければ離婚を認めてもらうことができませんので、法定離婚事由の有無を見極めたうえで進めていくことが大切です。
4、父親が子どもの親権を獲得するためのポイント
父親が子どもの親権を獲得するためにはどうすればよいのでしょうか。
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(1)親権を獲得するためのポイント
父親が子どもの親権を獲得するためのポイントとしては、以下の点が挙げられます。
① これまでの監護実績
親権者の判断基準のひとつに「母性優先の原則」というものがあります。これは幼い子どもにとっては母性によるきめ細かな監護養育が必要となるため、幼い子供については母性的立場にある母親が親権者として優先されるという考え方です。
このような母性優先の原則により、父親が親権を獲得するのは難しいケースが多いですが、日常的に父親が子どもの監護養育にかかわっており、母性的な監護養育が実現できるという事情があれば父親であっても親権獲得は可能です。
② 現在の子どもの生活環境
親権者を判断する際には、「継続性の原則」が考慮されます。これは、離婚に伴う子どもへの影響を最小限にするために、できるかぎり現在の生活環境を変えるべきではないという考え方です。
働かない妻と別居をする際には、妻と協議の上で、子どもを引き取って自分のところで一緒に生活することができれば、親権者の判断の際には有利な事情となりえます。
③ 子どもの気持ち
親権者を父親または母親のどちらにするか決める際には、子どもの気持ちも考慮されます。
子どもが自分の気持ちをしっかりと伝えることができる年齢に達している場合には、子どもの意見も踏まえて親権者が判断されます。
普段から子どもとコミュニケーションをとっていて、子どものとの関係が良好であれば、子どもから離婚後も一緒に生活したいと思ってもらえるでしょう。 -
(2)親権を獲得できない場合には面会交流を充実させる
父親が親権を獲得できなかったとしてもすぐに諦める必要はありません。子どもと別々に暮らすことになったとしても、面会交流を充実させることにより、子どもと定期的・継続的に会う機会を設けることは可能です。
面会交流は、離婚時に夫婦の話し合いで取り決める離婚条件のひとつになります。そのため、親権の獲得が難しい場合には、面会交流を充実した内容にできるように話し合いを進めていくとよいでしょう。
5、まとめ
協議離婚や調停離婚であれば離婚理由を問われることはありませんので、「働かない妻」という理由で離婚することも可能です。しかし、裁判離婚では、法定離婚事由が要求されますので、妻が働かないという理由だけでは離婚を認めてもらうことは難しいでしょう。
働かない妻と裁判離婚する際には、客観的判断とポイントを理解しておく必要があります。妻が働かず離婚をお考えの方は、離婚問題の実績があるベリーベスト法律事務所 八王子オフィスまでまずはご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています