離婚しないで別居するデメリットを弁護士が解説

2025年08月06日
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離婚しないで別居するデメリットを弁護士が解説

離婚しないで別居をすることにはメリットだけではなくデメリットもあります。

別居する際にはそれらを踏まえたうえで検討することが大切です。

今回は、離婚しないで別居するメリットやデメリットや離婚に踏み出す前に知っておくべきことなどについて、ベリーベスト法律事務所 八王子オフィスの弁護士が解説します。


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1、離婚しないで別居するデメリットは?

いきなり離婚を切り出すのは抵抗があるというときは、まずは別居をするという選択肢があります。ただし、離婚しないで別居をすると以下のようなデメリットが生じますので注意が必要です。

  1. (1)相手より収入が高い場合は婚姻費用を支払う必要がある

    離婚しないで別居をしている状態は、法的には婚姻関係が継続していますので、相手よりも収入が高い場合は原則として婚姻費用を支払う必要があります
    婚姻費用というのは、別居中の配偶者と、同居している子の生活費のことをいいます。

    離婚を前提とした短期的な別居であればよいですが、数年単位の別居になると婚姻費用の額も高額になるため経済的な負担が大きくなるというデメリットがあります。

    なお、婚姻費用の金額は、裁判所が公表している婚姻費用算定表により把握できますので、どの程度の負担になるかを一度確認してみるとよいでしょう。

  2. (2)相手とのコミュニケーションが制限されるため関係修復が難しくなる

    別居をすると相手と顔を合わせて話をする機会が減り、意識的に連絡をとらなければずっと交流がない状態が続いてしまいます。

    夫婦関係の修復を目的として別居をするなら、定期的に相手と連絡をとらなければ、相手のいない生活に慣れてしまい夫婦関係の修復がさらに難しくなってしまうでしょう。

  3. (3)不貞行為などの証拠を集めにくくなる

    相手の不貞行為やDV、モラハラなどを理由に離婚をする場合、相手に対して慰謝料を請求することができます。

    しかし、慰謝料を請求するには相手が不貞行為やDV、モラハラなどをしていたことを証拠により立証しなければなりません。同居中であれば相手の荷物やスマートフォンなどを確認するなどして証拠を集めることが容易ですが、別居をしてしまうと簡単には相手のテリトリーに立ち入ることができず証拠の収集が困難になってしまいます

  4. (4)子どもの精神的健康に悪影響を及ぼす可能性がある

    夫婦は別居することで精神的なストレスが軽減するかもしれませんが、子どもはこれまでと異なる環境で暮らすことになるため、不安や寂しさなどから精神的に不安定になるなど影響を受ける可能性があります。

    別居が避けられない状況だったとしても、親と子どもの定期的な面会交流の機会を設けるなどして、子どもへの影響を最小限に抑えるようにしましょう

  5. (5)子育ての負担が増える

    子どもを連れて別居をすると子育ての負担が増える可能性もあります。

  6. (6)再婚ができない

    別居をしても法的には婚姻関係が継続していますので、別居中に再婚をすることはできません。
    なお、別居中に恋愛をすること自体は法的には禁止されていませんが、配偶者以外の人と性的関係を持つと不貞行為に当たり得るので、慰謝料請求をされたり、離婚請求ができなくなったりするなどのデメリットが生じます。

2、離婚しないで別居するメリットは?

離婚しないで別居をすることには、以下のようなメリットもあります。

  1. (1)精神的ストレスが減る

    夫婦関係が悪化した状態で一緒に生活しなければならないのは、精神的にも大きなストレスとなります。

    離婚しないで別居をすれば配偶者と一緒に生活するストレスから解放されますので、精神的ストレスを大幅に軽減することができます。特に、DVやモラハラの被害を受けている方は、危害を加えられるリスクがありますので、早めに別居を決断したほうがよいでしょう。

  2. (2)収入が低い方は婚姻費用を請求する権利がある

    婚姻費用の支払いは、収入が高い方から見ればデメリットになりますが、収入が低い方からすると別居中も相手から生活費をもらうことができますので、メリットといえるでしょう。

    別居時にしっかりと婚姻費用の取り決めをしておけば、別居期間が長期化したとしても焦って離婚をする必要がなくなりますので、不利な条件で離婚するリスクを最小限に抑えることができます。

  3. (3)離婚を決意するまでの準備や離婚後の計画を立てるための時間が増える

    離婚を決意したとしてもすぐに離婚ができるわけではなく、相手に離婚を切り出すまでにはさまざまな準備をしておかなければなりません。

    相手と同居をしている状態では、相手に隠れて離婚の準備を進めることが難しいのですが、別居をしていれば離婚の準備や離婚後の計画を立てる時間的余裕が生まれます。落ち着いて離婚について考えることで、有利な条件で離婚できる可能性が高まるともいえるでしょう。

  4. (4)関係性が修復したときには夫婦のまま元に戻れる

    同居中はお互いに喧嘩ばかりしていた夫婦であっても、別居をしてお互いの関係性を冷静に見つめなおすことで、相手に対する愛情を再認識して夫婦関係を修復できる可能性があります。

    離婚をしてしまえば夫婦関係をやり直すことは不可能です。他方、離婚しないで別居をし、その後関係性が修復すれば元の夫婦関係に戻ることができます。

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3、別居よりも離婚を選んだ場合に知っておくべきこと

別居のデメリットが大きいと感じ、離婚を決めた場合に知っておくべき事項としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. (1)子どもがいる場合は養育費や親権を決めなければならない

    夫婦に子どもがいる場合、子どもの親権者をどちらにするかを決めなければなりません。
    また、親権者になった側が基本的には子どもと一緒に生活することになりますので、非監護親に対して養育費を請求することができます。子どもの養育費は、子どもの健全な成長にとって大切なお金ですので、適正な金額を定めるようにしてください。

    なお、養育費の金額は、裁判所が公表している養育費算定表を利用することで金額の相場を把握することが可能です

  2. (2)離婚後の生活住居や収入面について考慮する必要がある

    離婚をすると夫婦は別々に生活することになりますので、自宅を出ていく方は、離婚後の生活拠点を決めなければなりません。

    実家を頼ることができればしばらく実家に身を寄せることもできますが、それが難しい場合には、アパートなどを探さなければなりません。希望するエリアや家賃ですぐに物件が見つかるとは限りませんので、早めに行動することが大切です。

    また、配偶者の収入で生活している方は、離婚後は自分の収入のみで生活していかなければなりませんので、新しい仕事を探すなど収入面についても考慮する必要があります。

  3. (3)一定期間、別居している場合は「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚が認められる可能性がある

    離婚を決断したとしても相手が離婚に応じてくれなければ、協議離婚や調停離婚は困難ですので、裁判所に離婚訴訟の提起をしなければなりません。

    しかし、裁判所に離婚を認めてもらうには、以下の法定離婚事由のうちいずれかに該当する事情がなければなりません。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 3年以上の生死不明
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    もっとも、法定離婚事由に該当する事情がなかったとしても、一定期間別居している場合、法定離婚事由のひとつである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められる可能性があります

    そのため、将来的な裁判離婚を想定して早めに別居をしておくことも有効な手段といえるでしょう。

4、別居や離婚についての悩みを弁護士に相談するメリット3つ

別居や離婚に関するお悩みは、以下のようなメリットがありますので弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)最適な選択肢についてアドバイスが受けられる

    離婚を決断したもののどのような方法で離婚を進めればよいかわからないときは、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう

    弁護士に相談すれば、今後の離婚の進め方や離婚時に取り決めるべき条件などについてアドバイスが受けられますので、今後の離婚に向けた方針を明確にすることができます。

    十分な知識がない状態で離婚の話し合いを進めてしまうと、知らずに不利な条件を押し付けられてしまうリスクもありますので、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)慰謝料請求についても相談できる

    配偶者によるDVやモラハラ、不貞行為などがあった場合、離婚請求と同時に慰謝料請求もすることができます。

    ただし、慰謝料請求をするには相手の有責性を証拠によって立証しなければなりませんので、十分な証拠がない状態では慰謝料を支払ってもらうのは難しいでしょう。

    弁護士に相談をすれば、慰謝料請求の進め方や慰謝料請求に必要な証拠などについてアドバイスを受けることができますので、慰謝料請求に関する悩みの解消にもつながる可能性があります

  3. (3)相手との交渉を任せられる

    離婚を決断したものの相手と話をするのが困難に感じるときは、相手との交渉を弁護士に任せるとよいでしょう。

    弁護士であれば本人に代わって相手と交渉することができますので、離婚の話し合いをしなければならないという負担を最小限に抑えることができます。また、弁護士が交渉を担当することで有利な条件で離婚できる可能性が高くなるでしょう

5、まとめ

離婚しないで別居をすると、相手への婚姻費用の支払いによる経済的な負担の増加や子どもの精神的健康に悪影響が出るおそれがあるなどのデメリットが生じます。他方、離婚しないで別居するメリットとしては、精神的なストレスが減ったり、離婚を決意するための時間的余裕が増えたりすることが挙げられます。

このように離婚しないで別居をする場合、メリットだけでなくデメリットもありますので別居または離婚するか悩んでいる方は、ベリーベスト法律事務所 八王子オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています