法務の相談はどこにすべきか? 小規模事業者が知っておくべき知識
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企業経営にあたっては、さまざまな疑問や悩みが生じます。特に契約書や社内規程の作成、労働トラブルなど法的な疑問や悩みが生じた場合、不確かな知識で行動するのはリスクが高いため注意が必要です。
このような場合、法務相談を行うのが安全ですが、専門の部署を設けていない中小企業では、信頼できる相談先が見つからずお困りのケースも少なくありません。法務トラブルは、迅速な対応が求められることも多いため、事前に相談先の候補や対応の範囲などを知っておくことが大切です。
今回は、小規模事業者に向けて法務相談する際に知っておくべきポイントなどをベリーベスト法律事務所 八王子オフィスの弁護士が解説します。
1、法務相談ができる場所
法務相談とはどのようなものなのでしょうか。また、法務相談が必要になった場合、どこに相談をすればよいのでしょうか。
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(1)法務相談とは
そもそも法務相談とは、企業活動に伴い生じる法律、労務、契約、コンプライアンスなどに関する問題を相談することをいいます。
具体的な相談内容としては、以下のようなものが挙げられます。- 契約書の作成やリーガルチェック
- 就業規則やその他規程の見直し
- 取引先とのトラブル対応についての相談
- 社内でのハラスメント対応についての相談
- 個人情報の取り扱いについての相談
- 労務問題に関する相談
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(2)法務相談ができる場所
企業活動にあたってはさまざまな法律問題が生じますが、その際に対応を誤ってしまうと不利な立場に追い込まれ、訴訟リスクが生じることになります。
そのため、経営者や担当者が不確かな知識に基づいて対応するのでなく、法務相談により問題を正確な知識に基づき把握して、解決する必要があります。
法務部が設置されている企業であれば、法務相談は、法務部で行うことになりますが、中小企業などの小規模事業者では、法務部を設置していないことも珍しくありません。そのような場合には、外部の弁護士に法務相談を行うのがおすすめです。
2、法務相談のために知っておくべきこと
以下では、弁護士に法務相談をする際に知っておくべき3つのポイントを説明します。
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(1)法務相談では具体的な対応まではしてくれない
弁護士に法務相談をすれば、具体的な状況を踏まえて解決に必要となる具体的なアドバイスをしてもらうことができます。
しかし、法務相談は、あくまでも「相談」ですので、実際に弁護士が企業の代理人としてトラブルの相手方と交渉などをしてくれるわけではありません。法務相談の結果を踏まえて、企業の経営者や担当者が具体的な対応をしていく必要がありますので注意が必要です。
また、具体的なトラブルの内容によっては、一度の相談だけでは解決できず、複数回の相談が必要になることもあります。 -
(2)法務相談にあたっては事前の予約が必要
弁護士に法務相談をする場合、基本的には事前の予約制となっていますので、あらかじめ弁護士事務所に問い合わせをして、法務相談の予約をしなければなりません。忙しい弁護士だと相談の連絡をしても、実際に相談できるまで数週間も先になるということもあります。
すぐに法務相談を行い、アドバイスをしてもらいたいのであれば、スポット対応の弁護士ではなく、顧問弁護士制度の利用を検討するとよいでしょう。 -
(3)実際の対応を依頼する際には相談料以外に費用がかかる
法務相談をする際には、通常、相談料の支払いが必要になります。無料相談を実施している弁護士事務所もありますが、企業からの法務相談に関しては、有料相談としているところが多いといえます。
また、法務相談の結果、トラブルの対応を引き続き弁護士に依頼することもできますが、その際には、相談料とは別に着手金や報酬金といった弁護士費用がかかります。
弁護士費用の金額は、対応するトラブルの内容によって変わってきますので、事前に見積もりを出してもらうとよいでしょう。
3、適切なアドバイスを受けるために必要なこと
法務相談で弁護士から適切なアドバイスを受けるためには、以下のようなポイントを押さえておくことが大切です。
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(1)法的問題が生じたときは早めに相談する
法的問題が生じた場合、対応に時間がかかるとトラブルが深刻化して解決が困難になることも少なくありません。そのため、法的問題は放置せず、迅速に対応することが重要です。
早期に法務相談を行い、適切なアドバイスをもらうことができれば、法的問題を迅速かつ効果的に解決できる可能性が高くなります。法的問題が生じたときは早めに弁護士に相談するようにしましょう。 -
(2)トラブルに関係する証拠や資料をすべて持参する
法務相談で弁護士から正確なアドバイスを得るには、トラブルに関係する資料に基づいて判断してもらう必要があります。そのため、トラブルに関係する資料がある場合には、すべて持参するようにしましょう。
担当者が「これは必要ない資料だ」と判断した資料が実は重要な証拠であることもありますので、自身の判断で証拠の取捨選択をするのではなく、関連する資料はすべて持参するべきです。資料が膨大で判断に迷うときは事前に弁護士事務所に連絡して、判断を仰ぐとよいでしょう。 -
(3)不利な事実も正直に話をする
法務相談では、自社に不利になる可能性がある情報についても隠さず正直に伝えることが大切です。
不利な情報を隠してしまうと、弁護士は、誤った事実関係を前提としてアドバイスをしてしまいます。それでは法務相談をした意味がなくなってしまいますので、会社のために、すべての事実を正直に話すことを心がけてください。
弁護士には守秘義務がありますので、不利な事実を弁護士に伝えたからといって、そのことが誰かに伝わる心配はありませんので、ご安心ください。
4、顧問弁護士を契約するメリット
小規模事業者の法務相談は、スポット対応の弁護士ではなく「顧問弁護士」を利用するのがおすすめです。
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(1)いつでも気軽に相談できる
スポット対応の弁護士だと、法務相談を行うためには、事前に相談の予約をとり面談相談をしなければならないため、ささいな問題については相談しないケースもあるでしょう。
しかし、小さなトラブルも放置していると大きく発展することもありえますので、弁護士と都度共有し、いざというときに備えることが大切です。
顧問弁護士であれば、問題の大小にかかわらず、いつでも気軽に相談することができます。相談方法も面談相談だけでなく、電話、メール、オンライン会議など適宜の方法で行うことができますので、相談のタイミングを逃すこともありません。 -
(2)迅速に対応してもらえる
法務相談だけでは解決できない問題が生じたときは、その対応を弁護士に任せることになります。しかし、スポット対応の弁護士だと企業の実情やトラブルの前提事実から説明しなければならず、実態を把握するまでにある程度の時間を要します。
これに対して顧問弁護士であれば、顧問先企業の実情やトラブルの前提事実も熟知していますので、迅速に対応することが可能です。また、顧問弁護士は、顧問先企業のトラブルを優先的に対応するのが通常ですので、対応が後手に回る心配もありません。 -
(3)法務部を設置するよりもコストが低い
法務相談に対応できる窓口としては、社内の法務部も考えられますが、小規模事業者だと社内に法務部を設置したくてもコストの問題から実現できないところも多いと思います。
顧問弁護士に依頼をした場合、毎月の顧問料が発生しますが、法務部を設置するコストに比べると圧倒的に低く抑えることができます。法務部の設置コストを抑えながら、専門性の高い法務相談を受けられるのが、顧問弁護士のメリットのひとつといえます。 -
(4)企業の対外的信用性を高められる
顧問弁護士と契約をしていれば、顧問弁護士がいることを自社のホームページや会社概要などで外部に示すことができます。
それによりコンプライアンスを順守する意識が高い企業であることをアピールできますので、企業の対外的信用性を高める効果も期待できます。 -
(5)最新の法改正の情報を得られる
法律は時勢により頻繁に改正されることがあり、毎年のように改正されるものも少なくありません。これらの法改正に都度対応することは、経営者や企業にとって大きな負担となります。
しかし、顧問弁護士がいれば、企業に関連する法律に関して改正があった場合、法改正のポイントやリスク対策についてわかりやすく説明してもらえるでしょう。
5、まとめ
企業経営にあたっては、さまざまな問題やトラブルに直面することがあります。このような問題やトラブルに対応するには、弁護士のアドバイスやサポートが必要になります。安定した企業経営を続けていくためにも、顧問弁護士の利用をぜひご検討ください。
ベリーベスト法律事務所では、月額3980円からの顧問弁護士サービス「リーガルプロテクト」をご用意しています。必要に応じてプランを選択できるため、コストを抑えながら、顧問弁護士のサポートを受けることができます。
企業法務の相談ができる弁護士をお探しの経営者の方は、ベリーベスト法律事務所 八王子オフィスまで、まずはお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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