0120-353-048

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ 24時間・365日受付
メニュー メニュー

文書提出命令とは? 申立書提出の流れや拒否された場合の対応を紹介

2024年04月18日
  • その他
  • 文書提出命令
文書提出命令とは? 申立書提出の流れや拒否された場合の対応を紹介

会社との間で、未払いの残業代や不当解雇などのトラブルを抱えている場合、重要な資料や書類はすべて会社が保有していて従業員の側には資料があまり手元にない、というケースは少なくありません。

会社が資料を独占していることで、従業員が正当な権利を主張できなくなるのは公正ではないでしょう。

本コラムでは、会社に文書の提出を命じる「文書提出命令」という制度の概要や、その他の証拠収集方法、会社と争う場合の手順などについて、ベリーベスト法律事務所 八王子オフィスの弁護士が解説します。

1、残業代請求や不当解雇で会社を訴える場合の手段

文書提出命令について理解する前提として、残業代請求や不当解雇で会社を訴える際の具体的な手続きの種類やその流れを解説していきます。

  1. (1)会社に是正を求める

    従業員が会社との間でトラブルを抱えている場合、まずは会社に対して是正を求めていくことが必要です。
    たとえば、残業代が未払いである場合には未払い残業代を支払うように請求し、不当解雇された場合には、会社に対して解雇処分の撤回を請求していくことになります。

    会社側が違法性を自ら認めた場合には、違法状態が改善されて労働紛争が解決する可能性があります。しかし、従業員と会社との間で主張の対立がある場合には、会社と交渉して権利を勝ち取る必要があります

  2. (2)労働基準監督署に通報する

    会社との任意での話し合いでは労働紛争が解決しない場合、労働基準監督署に通報するという方法があります。

    労働基準監督署は、労働条件に関する相談や、会社が労働基準法などに違反している事実について行政指導を求める申告を受け付けており、労働基準法違反の事件については捜査権を持っています。
    従業員からの通報をきっかけに、労働基準法などの労働関係法令に基づき、労働基準監督官が工場や事務所などの事業場に立ち入り検査を行い、従業員の労働条件の確認などを行います。その結果、法律に違反する事実があった場合、会社に対して是正勧告や是正命令が出される可能性があります。

  3. (3)労働審判・訴訟などの裁判手続きを利用する

    労働トラブルが解決しない場合には、労働審判や訴訟という裁判手続きを利用することになります。

    「労働審判手続き」とは、解雇や給料未払いなど、個々の従業員と会社との間の労働関係トラブルを迅速に解決するために設けられている制度です。

    具体的には、裁判官(労働審判官)1名と、労働審判員2名で組織される労働審判委員会が当事者の間に入って双方の言い分や事情を聞き、審理・判断を行います。
    原則として3回以内の期日で審理を終えるため、迅速な解決が期待できます。
    労働審判では、まずは当事者間の話し合いによる解決を試み、話し合いがまとまらなければ事案に即した労働審判が出されることになります。

    このような労働審判に不服のある当事者は異議申立てを行うことができ、適法な異議申立てがなされた場合には労働審判は効力を失い、訴訟手続きに移行することになります。

    民事訴訟手続きは、原告・被告双方が主張・立証を行い、最終的には判決や和解等によって紛争を解決する手続きです。
    厳格な手続きのもと、主張と証拠によって権利関係を明らかにしていくことになりますので、当事者は適時・適切な方法で証拠の提出と主張を行う必要があります

  4. (4)証拠保全の申立てが必要となるケース

    労働トラブルで証拠の保全が必要となるケースとは、訴訟手続きを待っていると相手が保有している証拠書類等が破棄・隠滅・改ざんされてしまうおそれがある場合です

    労働紛争の場合、タイムカードや労務管理システム、業務日報など多くの証拠は会社の手元にあるケースが多いでしょう。そして勤務先と訴訟にまで発展するようなトラブルの場合、従業員側が情報収集をすることは容易ではありません。

    民事訴訟法には、「裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる」と規定しています(民事訴訟法第第234条)。

    訴訟における証拠調べ手続きまでに会社が保有している証拠書類が失われてしまうおそれがある場合には、上記のような証拠保全を利用することができるのです。

2、証拠収集手続きとは

  1. (1)文書提出命令とは?

    文書提出命令とは、民事訴訟における証拠収集手続きのひとつです

    裁判所は、当事者の申し立てがある場合、相手方に文書の提出を命じる決定を出すことができます(民事訴訟法第223条第1項)。これを文書提出命令といいます。

    たとえば、訴訟を提起して残業代の支払いを請求する場合、実際に労働した時間や日数を証明できる証拠が必要となります。この場合、従業員側が証拠となる文書を持っていないが、会社側が保有しているという場合、上記の文書提出命令を申し立てることで相手に提出を求めることができます。

  2. (2)文書提出命令以外の証拠収集手続き

    文書提出命令以外の証拠収集手続きとして、以下のようなものがあります。

    • 弁護士会照会
    • 求釈明、当事者照会
    • 調査嘱託


    「弁護士会照会」とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度(弁護士法第23条の2)です。個々の弁護士が行うものではなく、弁護士会がその必要性と相当性について審査を行った上で照会を行う仕組みになっています。

    「求釈明」とは、裁判手続きにおいて裁判所を通じて相手方に事実関係を説明させるものです。また「当事者照会」とは、当事者が必要な事項について、相当な期間を定めて相手方に対して書面で回答するよう、書面で照会できるとする手続きです(民事訴訟法第163条)。

    「調査嘱託」とは、裁判所が必要な調査を委託し、これで得た調査報告を証拠資料とする手続きです。

3、文書提出命令の具体的な流れと提出させられる書類とは

  1. (1)文書提出命令で提出させられる書類例

    文書の所持者は、以下の文書の提出を拒むことができません(民事訴訟法第220条1号~3号)

    • 引用文書:当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき
    • 権利文書:立証責任を負う当事者が所持者に文書の引渡義務・閲覧義務を負うとき
    • 利益文書、法律関係文書:立証責任を負う当事者のために作成または、文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき


    労働紛争で必要となる就業規則、給与明細、勤怠管理表などは権利文書や法律関係文書に該当するため、会社側に提出義務のある文書です。

    上記に該当する文書であれば、民事訴訟法に基づいて会社に開示を求めることができます

  2. (2)文書の提出を拒否することができる書類例

    以下の文書については、文書の所持者は開示を拒否することができます(民事訴訟法第220条4号イ〜ホ)。

    • 刑事訴追を受けて有罪判決を受けるおそれがある文書
    • 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
    • 医師や弁護士などが職務上知り得た事実で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
    • 専ら文書の所持者の利用に供するために文書(自己利用文書)
    • 刑事事件にかかる訴訟に関する書類もしくは少年の保護事件の記録、またはこれらの事件において押収されている文書
  3. (3)文書提出命令の申立ての流れ

    文書提出命令は「書面」で申し立てなければなりません(民事訴訟法第221条、民事訴訟規則140条)。

    申立書には、以下の必要事項を記載する必要があります。

    • 文書の表示
    • 文書の趣旨
    • 文書の所持者
    • 証明すべき事実
    • 文書の提出義務の原因


    当事者から申立てがあり、裁判所が理由ありと認める場合には、文書提出命令が出されることになります(同法第223条第1項)。

4、相手が文書提出命令を拒否・不服申し立てされた場合の対応

当事者である相手方が文書提出命令に応じない場合には、裁判所は当該文書の記載に関する申立人の主張を真実であると認定することができます(民事訴訟法第224条第1項)。

他方、文書の提出を命じられたのが第三者であり、その者が命令に応じない場合には、裁判所は決定で「20万円以下の過料」が科されることになります(同法第225条第1項)。

さらに、文書提出命令を受けた当事者・第三者は、その決定に対して即時抗告をすることができます(同法第223条第7項)。

ただし、提出義務の不存在ではなく文書の取り調べの必要性がないことを理由に即時抗告をすることができません。なぜなら、証拠調べの必要性の判断は裁判所の裁量であり、上訴で主張することが適切であると考えられているからです。

5、まとめ

以上、文書提出命令とは、相手方である会社に証拠文書の提出を求める裁判所の命令のことをいいます。

上記で解説したように、会社が保有している書類のすべてに提出義務が認められるわけではなく、提出義務のない文書もあるため、必ずしも裁判所が申立てを認めるとは限りません。

会社との間で未払いの残業代があったり、不当解雇されたりして紛争になりそうな場合には、労働問題の経験が豊富なベリーベスト法律事務所 八王子オフィスの弁護士に一度ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

0120-353-048

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ
24時間・365日受付

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

八王子オフィスの主なご相談エリア

<東京都>
暁町一丁目、暁町二丁目、暁町三丁目、旭町、東町、石川町、泉町、犬目町、上野町、打越町、宇津木町、宇津貫町、梅坪町、裏高尾町、追分町、大塚、大船町、大谷町、大横町、大和田町一丁目、大和田町二丁目、大和田町三丁目、大和田町四丁目、大和田町五丁目、大和田町六丁目、大和田町七丁目、小門町、尾崎町、小津町、鹿島、加住町一丁目、加住町二丁目、片倉町、叶谷町、上壱分方町、上恩方町、上川町、上柚木、上柚木二丁目、上柚木三丁目、川口町、川町、北野台一丁目、北野台二丁目、北野台三丁目、北野台四丁目、北野台五丁目、北野町、絹ケ丘一丁目、絹ケ丘二丁目、絹ケ丘三丁目、清川町、椚田町、久保山町一丁目、久保山町二丁目、越野、小比企町、小宮町、子安町一丁目、子安町二丁目、子安町三丁目、子安町四丁目、左入町、散田町一丁目、散田町二丁目、散田町三丁目、散田町四丁目、散田町五丁目、下恩方町、下柚木、下柚木二丁目、下柚木三丁目、城山手一丁目、城山手二丁目、新町、諏訪町、千人町一丁目、千人町二丁目、千人町三丁目、千人町四丁目、台町一丁目、台町二丁目、台町三丁目、台町四丁目、大楽寺町、平町、高尾町、高倉町、高月町、滝山町一丁目、滝山町二丁目、館町、田町、丹木町一丁目、丹木町二丁目、丹木町三丁目、寺田町、寺町、天神町、廿里町、戸吹町、中町、長沼町、中野上町一丁目、中野上町二丁目、中野上町三丁目、中野上町四丁目、中野上町五丁目、中野山王一丁目、中野山王二丁目、中野山王三丁目、中野町、長房町、中山、七国一丁目、七国二丁目、七国三丁目、七国四丁目、七国五丁目、七国六丁目、並木町、楢原町、南陽台一丁目、南陽台二丁目、南陽台三丁目、西浅川町、西片倉一丁目、西片倉二丁目、西片倉三丁目、西寺方町、弐分方町、狭間町、八幡町、初沢町、東浅川町、東中野、兵衛一丁目、兵衛二丁目、日吉町、平岡町、富士見町、別所一丁目、別所二丁目、堀之内、堀之内二丁目、堀之内三丁目、本郷町、本町、松が谷、松木、丸山町、三崎町、みつい台一丁目、みつい台二丁目、緑町、南浅川町、南大沢一丁目、南大沢二丁目、南大沢三丁目、南大沢四丁目、南大沢五丁目、南新町、南町、みなみ野一丁目、みなみ野二丁目、みなみ野三丁目、みなみ野四丁目、みなみ野五丁目、みなみ野六丁目、宮下町、美山町、明神町一丁目、明神町二丁目、明神町三丁目、明神町四丁目、めじろ台一丁目、めじろ台二丁目、めじろ台三丁目、めじろ台四丁目、元八王子町一丁目、元八王子町二丁目、元八王子町三丁目、元本郷町一丁目、元本郷町二丁目、元本郷町三丁目、元本郷町四丁目、元横山町一丁目、元横山町二丁目、元横山町三丁目、八木町、谷野町、山田町、鑓水、鑓水二丁目、八日町、横川町、横山町、四谷町、万町

立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町、中野区、杉並区、新宿区、世田谷区、渋谷区、目黒区、およびその他近隣地域にお住いの方

<埼玉県>
入間市、飯能市、所沢市、日高市、およびその他近隣地域にお住いの方

<山梨県>
上野原市、大月市、都留市、およびその他近隣地域にお住いの方

<神奈川県>
相模原市、横浜市、およびその他近隣地域にお住いの方

ページ
トップへ