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労働基準法における付加金とは|該当するお金や請求方法について解説

2024年04月08日
  • 残業代請求
  • 付加金
  • 労働基準法
労働基準法における付加金とは|該当するお金や請求方法について解説

東京都の区立保育園で、職員58人に対して未払いの残業代が2800万円以上に及んでいた事件がありました。

このように会社に勤めている方の中には、残業時間の上限いっぱいまで働いているにもかかわらず、適切に残業代を受け取れていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
法律では悪質な使用者に対する制裁という趣旨で、残業代とは別に最大で残業代相当額の金銭を受け取れる「付加金」という制度が設けられています。

本コラムでは、「付加金」の概要や対象となる未払金の種類や付加金の請求方法などについて、ベリーベスト法律事務所 八王子オフィスの弁護士がわかりやすく解説します。

1、労働基準法における「付加金」とは

  1. (1)付加金の概要

    付加金とは、裁判所が、労働者の請求によって、一定の労働基準法の規定に違反した使用者に対して支払いを命じることができる金銭のことを指します(労働基準法第114条)。付加金は、使用者が支払わなければならない残業代と同一額の支払いを命じることができます。

    したがって、裁判で未払残業代を請求する場合には、請求額が最大2倍になる可能性があるということです。

  2. (2)付加金の対象となるのは4つの未払金

    付加金の対象となる金銭については、労働基準法に明記されています。

    付加金が問題となるのは、以下の4つの金銭について使用者に不払いがあった場合です



    ① 解雇予告手当
    使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません(労働基準法第20条1項第1文)。そして、30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(同項第2文)。
    これが解雇予告手当です。
    ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合や、労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合には、解雇予告も解雇予告手当も不要とされています(同項但書き)。

    ② 休業手当
    休業手当とは、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合において、使用者が、休業期間中に労働者に対して支払わなければならない金銭のことです(労働基準法第26条)。
    休業手当は平均賃金の60%以上の金額を支払わなければなりません。

    ③ 時間外・休日・深夜労働の割増賃金
    使用者が労働者に、所定の労働時間を延長し、または休日に労働させた場合には、その時間またはその日の労働については、割増賃金を支払わなければなりません。
    時間外労働をさせた場合には、通常の労働時間の「25%以上」の賃金が支払われなければなりません(労働基準法第37条第1項、割増賃金令)。

    一方、休日に労働させた場合には、通常の労働時間の「35%以上」の賃金が支払われなければなりません(労働基準法第37条1項、割増賃金令)。

    使用者が、「午後10時から午前5時まで」の間において労働させた場合(深夜労働)にも、その時間の労働については通常の賃金の計算額に25%以上の率で計算した割増賃金が支払われなければなりません(労働基準法第37条第4項)。

    ④ 年次有給休暇中の賃金
    使用者は、有給休暇の期間・時間について就業規則の定めにより、平均賃金もしくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければなりません(労働基準法第39条第9項)。

2、付加金を請求する方法

付加金を請求するには、
・労働訴訟を起こす
・付加金の除斥期間は発生から3年以内
この2点に注意する必要があります。

  1. (1)請求するには労働訴訟を起こす必要がある

    付加金について定めている労働基準法第114条は、「裁判所は、…労働者の請求により、…付加金の支払いを命ずることができる」と規定しています。
    したがって労働者は、未払いの残業代の支払いを求める訴訟を裁判所に提起したうえで、付加金支払命令の請求をする必要があります。

    判例においても、付加金の支払義務については、使用者が残業代を支払わない場合に当然発生するものではなく、労働者の請求によって裁判所が付加金の支払いを命じることによって初めて発生するもの、としています

    なお、使用者に残業代不払いの違法行為があったとしても、裁判所がその支払いを命令するまで(訴訟手続き上は事実審の口頭弁論終結時まで)に使用者が未払いの割増賃金の支払いを完了しその義務違反の状況が消滅してしまうと、もはや裁判所は付加金の支払いを命じることはできなくなってしまいます(最高裁判所平成26年3月6日判決)。

  2. (2)付加金の除斥期間は発生から3年

    付加金の請求は、違反があったときから3年以内にしなければなりません。これは消滅時効を定めたものではなく、除斥期間と解されています。除斥期間というのは、時効と異なり、期間内に権利を行使しないと権利が当然に消滅する制度のことです
    なお、残業代の消滅時効は、不払いがあったとき(賃金支払日)から3年となります。こちらは、消滅時効と解されています。
    付加金の除斥期間や残業代の消滅時効期間は法改正によって変わる場合もあるので、詳しくは弁護士に相談の上、確認すると良いでしょう。

3、付加金請求を行うメリット

付加金請求をするメリットとしては以下の2点が考えられます。

  1. (1)判決が出れば強制的に支払わせることが可能

    勝訴判決などの債務名義を得られれば、労働者(債権者)は裁判所に申し立てを行い、会社(債務者)に対する請求権を強制的に実現することができます(強制執行手続き)。
    このような債務名義となる公文書には、確定判決のほか、和解調書や労働審判の審判書、仮執行宣言付支払督促などが含まれます。

    強制執行手続きによって差し押さえることができる会社の財産としては、以下のものがあり得ます

    • 現金
    • 預金債権
    • 売掛金債権
    • 不動産
    • 動産


    会社の財産に関する情報が全くわからないという場合には、弁護士に依頼して弁護士会照会を行うという方法が考えられます(弁護士法第23条の2)。また民事執行法に基づく財産開示手続きや、第三者からの情報取得手続きを利用できるケースもあります(民事執行法第196条、204条)。
    労働者の権利を実現する具体的な方法については、労働事件の経験が豊富な弁護士に相談して確認することが重要でしょう。

  2. (2)最大で未払金の2倍の金額を受け取ることができる

    付加金請求をした場合には、最大で未払いの残業代の2倍の金額を受け取れる可能性があります。
    ただし、裁判所が使用者に付加金の支払いを命令する場合には、訴訟で明らかになった事実関係を総合的に考慮して支払われるべき付加金の金額を決定することになります。

    そのため、付加金は必ずしも未払いとなっている残業代の金額と同一額となるとは限りません

    したがって、裁判を起こせば必ず残業代の2倍の金銭が受け取れるというわけではありませんので、その点には注意が必要です。

4、会社からの未払金について弁護士に相談するべき理由

会社から未払金について弁護士に相談するべき理由については、以下の3つのポイントがあります。

  1. (1)最善の解決策やアドバイスがもらえる

    会社からの未払金について弁護士に相談すると、任意での支払請求や労働審判、労働訴訟など、さまざまな解決方法についてアドバイスを受けることができます。

    弁護士が代理人に就任しただけでも、会社の態度が軟化するケースがあります。
    そのような場合には、任意での交渉によって未払金の支払いに応じてくれる可能性があり、裁判手続きによらず時間をかけずに紛争が解決する場合があります

  2. (2)未払金を正確に算出してもらえる

    未払いの残業代については、客観的な証拠に基づいて適切に算出する必要があります。
    弁護士に依頼すれば、時間外労働の時間の算出に必要な証拠や資料についても適切に収集・保管のアドバイスを受けられます。
    労働時間の計算や残業代の計算についても弁護士に一任できますので、ご自身で複雑な計算をしたり、計算間違えをしたりするリスクを軽減することができます

  3. (3)訴訟のサポートをしてもらえる

    会社との話し合いが難航し、労働審判や労働訴訟に発展した場合であっても、弁護士に依頼すれば、その後、訴訟になっても対応を任せることができます。
    訴訟になった場合には、会社側も代理人弁護士を付けてくるはずですので、代理人同士で適正かつ妥当な内容で和解交渉を進めることも期待できます

5、まとめ

本コラムでは、労働基準法にある付加金について概要や対象となる未払金について解説しました。

会社からの未払金がある方や、少しでも多く回収したいと思っている方は、一度弁護士に相談されることをおすすめします。付加金を得るためには、必ず訴訟を提起しなければなりませんので、その場合には弁護士に代理人として訴訟の対応をしてもらう必要があるでしょう。

未払残業代をしっかりと請求したいという方は、労働事件に関する知識と経験が豊富なベリーベスト法律事務所 八王子オフィスの弁護士にぜひご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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